EMU500型は台鉄の通勤形電車。EMU400型に続き台鉄では2形式目の通勤形電車で、300両以上が導入されたことにより台鉄の通勤輸送を大幅に改善した。製造は韓国の大宇重工で、電装品は主にドイツのジーメンス製品が採用されていたが2019〜2023年に三菱製の制御機器に置き換えられた。
車体はステンレス製の20m級3扉で、4両編成を組む。窓や扉の配置は2025年現在最新のEMU900型に至る台鉄通勤形電車の基本形となった。外観はEMU400型がベースとなっており、無骨な前面デザインと青帯と白帯を組み合わせた塗装はEMU600型にも引き継がれた。
オリジナルの内装はロングシートだが、転換クロスシートへの改装が進んでいる。台北や高雄の近郊などでは2編成を併結した8両編成として運用されており、導入から30年近く経った2025年現在でも縦貫線や屏東線などで広く使用されている。

556編成ほか8両 反時計回り先頭より 麟洛にて 2025/02/23
高雄近郊では4両編成を2編成繋いだ8両編成で運転される。1990年代の登場とは思えないような無骨なデザイン。

556編成ほか8両 反時計回り先頭より 麟洛にて 2025/02/23
先頭部は青ベースの塗装で、スカートには虎柄の警戒色が塗られている。先頭部には種別のみが小さく表示される。

556編成ほか8両 時計回り先頭より 麟洛にて 2025/02/23
貫通扉の上部に前照灯、下部に尾灯という103系や201系のような灯具の配置。

557編成 時計回り先頭より 新左営にて
日常的に併結を実施するため、先頭部は貫通構造で貫通幌が常備されている。貫通扉に付けられているエンブレムは製造者の大宇重工のもの(DAEWOO)。

567編成 時計回り先頭より 屏東にて
はずれてしまったのか、エンブレムのない車両もあった。

側面
腰板部にビートのあるステンレス車体。3扉の扉・窓配置はEMU900型まで引き継がれている。

連結部
運転室の扉配置は特殊で、進行方向左側にのみ乗務員扉が設置されている。

車内
EMU500型のオリジナルの内装はロングシートで、オリーブ色のビニール生地の座席のせいか207系や209系と同世代には見えない雰囲気。

座席・側扉
オリジナルではドアにステップが付いていたが、ステップの廃止と車内案内表示器の設置などの改造工事が全編成に対して行われている。
台湾高鉄は左営までの開業となったが、屏東県は屏東までの延伸を要望していた。それが実現するまでのつなぎとして左営以南の台鉄の輸送を改善することとなり、その一環で登場したのがEMU500型の改造車である。「屏東仕様」車は転換式クロスシートの座席配置に改造されており、南段・屏東線で運転されるEMU500型区間車・区間快車の多くに充当されている。

2号車車内
1・2・4(・5・6・8)号車は2+2列の転換式クロスシート。壁・床や荷棚も更新され、窓にはオリジナルにはないロールカーテンが設置されている。車端部までクロスシートとなっており、区間車の中では最も客室設備が良い車両と言えそうだ。

2号車トイレと荷物スペース
高鉄との接続も考慮した荷物置き場が車端部には置かれている。トイレは2号車の1号車寄りと3号車の4号車寄りに設置されているが、2号車のトイレは男女共用と男性用の2室が設置されている。

座席
座席は転換式クロスシートで、700系のような丸い形状の持ち手が設置されている。モケットは青い花柄で、優先席(博愛座)には赤いピクトグラム入りの柄が採用されている。車端部に優先席をまとめて配置する日本と異なり、台湾の車両では各区画に1〜2席ずつの優先席が分散設置されているのが特徴。

3号車車内
3号車は多目的トイレが設置されている車両で、車椅子利用者なども移動できるように2+1列の座席配置とされている。

3号車多目的トイレ
大きく膨らんだ多目的トイレの形状は日本の鉄道車両と共通だ。

1・4号車先頭部
1・4号車の座席配置は基本的に2号車に準じているが、先頭側の扉間2列がロングシートとなっている。運転室後部には荷物置き場が設置されている。
台湾の鉄道で日本に比べて趣味的に劣っているところとして、乗務員室の窓がないため前面展望を楽しむことができない。

側扉
側扉はオリジナルのデザインと大きく変わらない。

鴨居部・ステップ
車内案内表示器には、丸みを帯びたカバーが上からかけられている。先述の通り足元のステップを埋める改造がされているが、車内からの見た目では全くわからない。

車掌用ドアスイッチ
各扉にはドアスイッチがあるが、乗客用ではなく車掌用。車掌は車内を巡回しており、駅停車時に最寄りのドアからドア扱いを行う。
満員電車のある日本の都市部では導入できなそうなシステムだ。

ハンマー
緊急時の保安の考え方が日本とは異なっており、扉以外の脱出路確保のために窓を叩き割るハンマーが車内に設置されている。窓の中央ではなく四隅を叩くのが正しい使用法らしい。

台鉄弁当の輸送
区間車を利用した荷物輸送を目にする機会があった。日本でも地方私鉄などでたまに見かけるが、都市部のJRではあまり見かけない光景だ。
・形式のデータ
沿革 1995年10月11日:営業運転開始 1995〜1997年:増備
両数(2025年5月現在) 4両84編成(製造は86編成。2編成は事故廃車)
・ページのデータ
取材:2025/02/23、2025/02/24
公開:2025/05/11
更新:公開後未更新
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